前穂高岳北尾根_2022年10月1日(土)から2日間

 10月最初の土日の北アルプスの天気予報を見ると快晴が3日まで続きそうだった。そこで何年も前から暖めておいた前穂高岳北尾根にソロで行くことにした。装備は可能な限り軽くしてテント泊ではなくビバークで一泊する。登攀具は持たず、すべてフリーでの登攀で、2峰の懸垂下降はクライムダウンで下りている人も過去にいたので自分でも下りれると考えた。シューズはグリップ力に定評のあるハイパーV#005でアプローチして5・6のコルより上はクライミングシューズに履き替え登ることにした(実際には3峰の取付までハイパーVで登った)。

 計画したルートは標準的なコースで上高地から横尾経由で涸沢に入りテント泊、余裕があれば5・6のコルまで登り、そこでテント泊するものだ。実際には5・6のコルには青山学院大学の山岳部のふたりが大きなテントを張っており、更に先の5峰の頂上でビバークすることになった。

 出発は前日の夜8:00に自宅を出て伊勢原大山ICから高速に乗った。意外と高速は空いていたので長野道まで車を走らせ、みどり湖PAで仮眠をとり、朝の3時に再び走りだした。4時少し過ぎにさわんどバスターミナルに近い第3駐車場に着いたがすでに満車だったので、少し戻り第2駐車場に何とか停めることができた。

5:08 さわんどバスターミナルでバスを待つ行列に並びはじめた。まるでデズニーランドみたいだ。早くも逃げ出したい気分になる。

5:46 何とか上高地まで到着し、歩き出す。

河童橋が見えてきた。

梓川の支流。ここはいつも水量が多い。

明神岳かな。

私のキノコセンサーが稼働し始めた。でも何のキノコかわからん。アケボノサクラシメジかな。

6:41 明神館に到着。トイレ休憩と行動食をとる。

再びキノコセンサー。何だろこのキノコ(ナラタケでした)。

ナラタケに見えるけどわからん(これもナラタケでした)。

ナラタケでした。

キノコだらけだ。

ついにはヤマドリがあらわれた。

7:26 徳沢園に到着。テントが多い。

ここのソフトクリーム美味いんだよね。でも帰りは通らないのだ。

サンゴハリタケモドキかな。

メダマヤキタケというのは嘘。何だろ。サルノコシカケの幼菌かな(マスタケでした)。

8:19 横尾に着いた。

陽のあたっている橋の袂でザックをおろし休憩。水分補給と行動食をとる。山岳救助隊の人が登山者に話しかけている。靴のことについて注意されている人がいたので、ハイパーVの自分も何か言われないかとビビる。

横尾から歩きはじめるとすぐに屏風岩が見える。

涸沢には多くの人が登って行く。

11:02 涸沢に着いた。

お目当てのカレーを食べるため行列に並ぶ。30分待ちだった。

涸沢ヒュッテの1000円カレー。

5・6のコルへのルート入口がわからず右往左往したが涸沢ヒュッテの裏にヘリポートの奥から登る。ここで奥穂側からかなり大きな自然落石が発生して白煙とカランカランという大きな音。山の怖さを改めて思い知る。男性ひとり女性ふたりの先行者がいた。私は適当に登って行くが彼らは正規ルートの踏み跡を登っている。

5・6のコルに登る途中、涸沢を振り返る。

5・6のコルへは1時間の行程だ。途中、先行者の方々と同じ場所で休憩しお話させてもらった。お父さんが娘ふたりを連れてきたらしい。お父さんは北尾根には何度も来ていると仰っていた。

天気は最高で清々しい。

紅葉には少し早いのかナナカマドはまだ赤くなっていない。

先行者の親子の後を登って行く。

チングルマだ。

5・6のコルに着いたのは13時過ぎだ。ここで大きな4~5人用のテントが見えた。若い人が座っていたので話かける。もう一人はテント内にいるみたいだ。青山学院大学の山岳部のふたりとのことだ。少しすると途中で追い越した親子が登ってきた。親子の方々も休憩をして4峰でビバークすると言うので5峰に登っていった。

私はここで山岳部のふたりと30分以上話した。事前に色々調べてきたらしく教えてくれる。元気の良い2年生は自動車免許を取得してレンタカーで初めて運転して来たので帰りの車の運転が核心と言っていた。5・6のコルにもビバークするスペースはあったが、明日は涸沢から同じコースを上がってくる人が多いのではないかと思い5峰を登るとこにした。青学のふたりも明日朝早くに出発すると言っていた。

5峰は踏み跡も明瞭でハイパーVでも問題なく登っていくことができた。

先行する親子が見えた。

振り返って涸沢を見ると無数のテントが見えた。

14:45 5峰の頂上に着いた。親子の方々も休憩していた。親子の方々は4峰に登るといって出発した。私は時間も時間だし4峰には親子がビバークするので、ここでビバークすることにした。

明日登る4峰はスケール感が大きく威厳がある。

ビバークの準備もできてお湯でも沸かして何か食べようとしたときに問題が発生した。ジェットボイルマイクロモが点火しないのだ。点火ボタンを何度押してもダメだった。こう言うときに限ってライターも忘れた。今日は冷や飯かなと思ったが、サバイバルキッドの中を見てみるとフリント式の点火装置が入っていたので何とか点火することができた。夕食はモンベルの梅しそリゾッタ、はじめて試したがイマイチだった。サッポロ一番味噌ラーメンもあったが作るが面倒なのでやめた。後は適当に行動食で済ました。

お父さんが4峰の頂上に立っているのが見える。親子は日が暮れそうになるまで登っていた。

4峰の横に三日月が輝きはじめた。

雲海のように下に雲が出始めた。

日が暮れ、1日目が終了。雲がなく星の綺麗な夜だった。

2日目スタート。そらが赤らむまえに青学のふたりがヘッデンであがってきた。暗いので4峰に取り付いて登るは危険と言ったらここで少し待つと言ってふたりでツエルトをかぶった。3峰が核心らしいことなど色々話してくれた。

5:11 明るくなってきたので青学のふたりが先行して4峰に下りていった。私もすぐ後を追う。彼らは尾根の上を進んだが、私は巻くようにルートを取った。結局、4峰の取付には私が最初に着くが、青学のふたりが先行して登っていった。途中、ふたりは右側に進んでいったので私が左側だと伝えて軌道修正した。4峰は上部にある大岩を左側に回り込むと弱点があり、そこを右上する。そして再び涸沢側に回り込んで登るようなイメージだ。

4峰の取付に下りる途中、富士山が見えた。

日の出だ。

4峰もハイパーVで何とか登ると3峰が見えた。ちょうど親子が娘ふたりが取付にいてお父さんはリードで上の支点に着く前だった。青学のふたりと親子の登ったルートをじっくり観察することにした。

4峰と3峰の間のコルにおりて涸沢みるとテントだらけだった。

今朝も天気は良く、素晴らしい景色が広がっていた。

お父さんが支点構築し娘が登ろうとしているが最初の乗り上げる部分がかなり登りづらそうにして登っていく。ロープ1本でふたりの娘をビレイしているで連携をとりながら登るのがたいへんそうだ。私の見た感じだと更に左側に回り込んだ方が良さそうに見えた。

3峰は青学のふたりより私が先に登ることになった。靴もクライミングシューズに履き替えた。親子の娘さんたちが登りずらそうにしていたポイントまでは難なく登れた。娘さんたちの登ったルートの左側を覗き込んでみると残置支点が見えたので左側を登ることに決めた。最初はハイステップで登りづらいがクリア。その後が少し仰け反る感じになるので怖い。クラックがあるので私はジャミングを決めて登ったがここが核心だったと思う。それ以降は問題なく登っていけた。

チムニーに着いた。青学のふたりは登ってこないが先に進む。ここは昔は難しかったらしいが今は問題なくあがれる。落石を気をつけるぐらいだ。

途中、親子の方々に追い付き、同じ場所で休憩。娘さんのひとりに「フリーで怖くないんですか?」と聞かれたので「怖い」と答えた。正確にいうと怖さにも色々あり、自分でコントロールできる怖さというこだ。

燕岳のイルカ岩に似ているかな。

2峰の登りも特に問題ない。

振り返るが青学のふたりはまだ見えない。

前穂高岳の頂上が見えた。親子が2峰の懸垂下降のところに見える。私が着くと娘ふたりがまだ、下りていなかった。一人はすぐにおりたが、最後のひとりが不安そうだったので私がみるから大丈夫といった。

2峰の7m懸垂下降部分は写真のルートをクライムダウンでおりた。クライミング経験者であれば問題ないと思われる。

前穂高岳頂上への最後登り。

頂上に着いて北尾根を振り返るが青学のふたりはまだ見えなかった。そうとう時間かかっているみたいだ。

7:37 前穂高岳頂上へ着いた。明神岳を登ったとき登ったので2度目だ。親子の方々もいたので少し休憩し青学のふたりがあがってこないかしばらく頂上にいたがこない。親子の方々が下山したので、7:50 私も下山開始した。

8:40 紀美子平に着いた。ルートを間違え遠回りした。

岳沢の重太郎新道をおりる。

9:12 岳沢パノラマに着いた。

下山で一番長いハシゴ。

遭難救助ヘリが救助活動中だった。

10:22 岳沢小屋に着いた。

コーラは売り切れだったのでGokuriを一気飲み。

11:26 7番標識を通過。明神岳に登るところだ。

12時ちょうど河童橋に到着した。ご褒美にソフトクリームを食べる。ウメー!

逃げるように上高地からさわんどバスターミナルに向うバスに並ぶ。

12:25 上高地をあとにする。

さわんどバスターミナル近くの梓湖畔の湯で日帰り入浴した。その後、松本方向に30分下り、セブンイレブンで食料を調達して、逆方向の高山の中尾高原バス停駐車場まで車を走らせた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です